テーマ別作品例(1)
朝焼け・夕焼け
晴れた日は気持ちよい青空が広がり、夜明けや夕方の時間は空が赤やオレンジ色に染まります。夜明けは「朝焼け」、夕方は「夕焼け」といいますが、なぜ朝焼け・夕焼けになるのでしょう?。その原理は同じです。太陽の光を私たちは白色として認識してますが、太陽からは白色の光一色が来ているのではありません。赤・橙・黄・緑・水・青・紫の7色の光が混ざり合って来ているのです。7色の光は波長が異なり、朝焼け・夕焼けは、波長の違いから生まれます。赤色は波長が長く屈折し難く直進性に優れています。紫色は波長が短く屈折しやすく、さらに空気や水蒸気・塵によって散乱しやすい光なのです(下の図)。
左の図をご覧ください。夜明けや夕方の太陽光は大気の中を長い間通ってきます。大気中には空気の成分(窒素や酸素等)や水蒸気・エアロゾルがあり、波長の長い赤以外の光は屈折・散乱し、直進してくる波長の長い赤い光だけが私たちの目に入ってきます。これが「朝焼け」「夕焼け」なのです。
朝焼け(作品)
夕焼け(作品)
私の勧める撮影法(朝焼け・夕焼け)
※撮影法は私が使用しているCanon製の一眼レフを基準に紹介します。
★三脚、リモートスイッチ(レリーズ)、ヘッドライトは必要
★絞り優先モードに設定(F値:8~18)
★ISO:三脚を使う場合は100~200 手持ちの場合は400~800
★フォーカス:ワンショット、測距エリアは1点AF、コントラストが強い雲にフォーカス
★ホワイトバランス(←左)
・パソコンでレタッチする場合はRAWでOK
・RAWで撮影しない場合は「日陰」または「曇り」に設定(「オート」は赤味が軽減されてしまう)
★露出補正
・補正なしで撮影し、モニター確認後、露出補正
・露出ブラケットもOK
朝焼け・夕焼け作品の撮影日・場所
前述したように朝焼けや夕焼けは波長の長い赤い光だけが届く現象です。そして、その赤い光を鮮やかに輝かせて見せるのが雲であり空気中の水蒸気や塵なのです。
次に、作品の撮影日時・場所を紹介します。撮影場所はマップコード(MC)で紹介します。
★作品1 2011年11月12日(土) 6:06 山梨県富士川町平林(池の茶屋)(MC) 893 568 708*10
★作品2 2009年11月28日(土) 6:14 山梨県富士河口湖町精進 精進湖畔 (MC) 312 567 478*48
★作品3 2013年6月23日(日) 4:33 山梨県韮崎市旭町上條北割 甘利山山頂付近 (MC) 167 345 385*62
★作品4 2010年10月2日(土) 5:40 山梨県山梨市三富上釜口 国師ヶ岳山頂 (MC) 664 726 065*82
★作品5 2017年10月27日(金) 5:18 山梨県富士川町平林 櫛形林道 (MC) 312 871 119*76
★作品6 2016年6月27日(月) 5:19 山梨県富士河口湖町大石 大石公園 (MC) 59 089 358*26
★作品7 2013年9月16日(月) 18:11 山梨県山中湖村平野 山中湖畔 (MC) 161 018 524*08
★作品8 2010年12月25日(土)17:09 神奈川県横須賀市秋谷 立石公園 (MC) 394 552 394*46
★作品9 2009年9月19日(土) 18:24 山梨県富士河口湖町精進 精進湖畔 (MC) 312 567 478*48
★作品10 2015年1月13日(火) 16:47 神奈川県葉山町堀内 森戸神社 (MC) 8 068 351*06
★作品11 2016年11月13日(日) 16:17 静岡県富士宮市猪之頭 田貫湖畔 (MC) 312 052 011*61
★作品12 2014年12月3日(水) 16:30 山梨県山中湖村平野 山中湖畔 (MC) 161 018 524*08
グラデーション
ビーナスベルト(ビーナスの帯)と地球影
撮影をしていると上空にきれいなグラデーションが現れ、心を奪われることがあります。雲を境に空の色が異なったり、快晴の日にもかかわらず日の出前の数分間、青とピンクのグラデーションが現れたりと、その不思議さと美しさに感動さえ覚えます。ここではグラデーションとなる「ビーナスベルト(帯)と地球影」と「裏御光(裏後光)」について紹介いたします。
左図をご覧ください。日の出前であり太陽光がカメラマンに届く前は、カメラマンは次のような現象を目にします。それは西の上空が青色、その下にピンク色、そしてその下にピンクがかった紺色のグラデーションです。上空の青色は昼間に見える色をしています。そして、その下に帯のようにピンク色が見え、それは「ビーナスベルト(ビーナスの帯)」といわれています。
夜明け・夕方ともビーナスベルトの原理は同じです。地上は太陽光が届いていない夜明け直前でも、上空には太陽光が届いています。そして波長の短い光は屈折・散乱し、直進してくる赤い光だけが私たちの目に入り、それがピンク色に見えるのです。なお、ビーナスベルトの下は紺色に見えます。これは、いわゆる地球の影で地球影と呼ばれています。なお、この現象は夜明けならば西側に、夕方ならば東側に確認できます。
裏御光(裏後光)
左をご覧ください。これは9月の快晴時に平城京跡を訪れ日没後に西側を撮影した写真です。中央付近に放射線状に光の筋(光芒)が見えます。これは太陽光が雲や水蒸気の層等に遮られ、その隙間から漏れた光が周囲の水蒸気、塵などに反射して見える光景です。これを薄明光線(はくめいこうせん)と言います。
右の写真をご覧ください。富士山の右下(西)から光芒が放射線状に出ています。でも撮影したのは日の出前です。太陽は東にあるのに光芒は太陽とは正反対の西から出ているように見えます。太陽とは正反対の方向に光芒が見える現象が裏御光(裏後光)で反薄明光線(はんはくめいこうせん)とも呼ばれています。
なお、裏御光(裏後光)は観察者には放射線状に見えますが、実はどれも互いに平行な光線なのです。これは、まっすぐな線路に立って一方を見ると、ずっと先で一点に交わっているように見えるのと同じ理由なのです。
ビーナスベルト(作品)
裏御光(作品)
雲の濃淡によるグラデーション(作品)
その他・グラデーション(作品)
私の勧める撮影法(グラデーション)
★早朝、夕暮れ、夜間の撮影のため三脚、リモートスイッチ(レリーズ)、ヘッドライトは必要
★絞り優先モードに設定(F値:8~18)
★ISO:三脚を使う場合は100~200 手持ちの場合は400~800
★フォーカス:ワンショット、測距エリアは1点AF、富士山の手前にある山々などにフォーカスする。富士山にフォーカスしても良い
★色合いはホワイトバランスで調整(RAW撮影ならばその場での調整は不要)
★露出補正:補正なしで撮影し、モニター確認後、露出を補正して撮影、露出ブラケットもOK
グラデーション作品の撮影日・場所
★作品13 2017年2月15日(水) 6:13 神奈川県大井町山田 おおいゆめの里 (MC) 57 591 616*14
★作品14 2016年12月17日(土) 6:35 山梨県山中湖村平野 山中湖畔(MC) 161 018 524*08
★作品15 2010年5月28日(金) 4:31 山梨県西桂町・富士河口湖町 三ツ峠山頂(MC) 161 457 464*47
★作品16 2012年9月16日(日) 5:25 山梨県山中湖村山中 (MC) 434 282 213*5
★作品17 2016年8月26日(金) 4:53 山梨県山中湖村平野 パノラマ台(MC) 434 289 105*08
★作品18 2016年9月27日(火) 5:19 山梨県山中湖村山中 花の都公園 (MC) 161 072 501*28
★作品19 2009年11月23日(月) 6:52 山梨県富士川町平林 櫛形山への林道(池の茶屋)(MC) 893 568 708*10
★作品20 2012年10月8日(月) 4:28 山梨県山梨市三富上釜口 国師ヶ岳山頂 (MC) 664 726 065*82
★作品21 2007年11月4日(日) 6:04 山梨県大月市真木 雁ヶ腹摺山(MC) 348 331 794*06
★作品22 2006年11月16日(木) 6:06 山梨県富士河口湖町精進 精進湖畔(MC) 312 567 446*34
★作品23 2009年12月6日(日) 1:29 静岡県静岡市清水区吉原 (MC) 25 895 639*35
★作品24 2018年(平成30年)1月11日(木) 17:32 千葉県鎌ケ谷市役所(屋上)(MC) 6 675 734*07
赤富士・紅富士
左の写真をご覧ください。赤色に染まっており、雪が少ない夏に見ることができます。富士山は成層火山であり、主に酸化鉄が含まれた玄武岩から成っています。そのため五合目から上は「えんじ色」をし、雨に濡れるとさらに色濃くなります。この山肌が夜明けや夕方に波長の長い太陽光に照らされると山肌が真っ赤に染まって見えます。これを我々は「赤富士」と呼んでいます。
赤富士は「1焼け(いちやけ)」「2焼け(にやけ)」という現象が知られています。夜明け前に何らかの影響で波長の長い赤色が富士山を照らすと1焼けとなり、しばらくして2焼けになることも確認されています。
右の写真は登山道に灯りが見えます。周囲が暗いのにもかかわらず頂上付近が赤くなりました。1焼けと思われます。
私は鮮やかな赤富士に出会えるのは希だと感じています。好天であっても赤富士になるとは限りません。カメラマンの多くも「きれいな赤富士は年に数回見られるかどうかだ!」とおっしゃっています。
私は、見事な赤富士に出会えるときは、次の条件が揃っているときと考えています。
★ 五合目以上が降雨により濡れているとき
★ 霞が少なく空気がクリアーなとき
★ 日の出方向にスリット雲があり、その隙間から波長の長い赤い太陽光が富士山を照らすとき
このことから、梅雨明け後の2~3日間が赤富士を狙うチャンスだと思います。しかし近年は梅雨明け後も天候不順が多く、澄み切った夏空になることが少なくなっているように感じています。
私は、見事な赤富士には複数回遭遇をしていますが、そのほとんどが下の写真のように富士山の頂上から徐々に赤く輝いてくるのです。上から少しずつ赤くなるときは胸がときめき、感動間違いなしです。
「赤富士」は、雪のない季節に山肌が赤く染まった状態ですが「紅富士」は、富士山に雪がある早朝と夕方に見ることができます。白い雪が赤い太陽光に照らされるので赤富士ほど赤くなりませんが「いわゆる紅色」となり人々を魅了します。下に示した2枚の紅富士は、富士山の東に位置する山中湖畔から望遠レンズで撮影しました。
赤富士(作品)
紅富士(作品)
私の勧める撮影法(赤富士・紅富士)
★赤富士・紅富士の時間は周囲が明るいのですが、できれば三脚、リモートスイッチ(レリーズ)があればよいでしょう。また、暗いときに移動するのでベッドライトは必要です。
★絞り優先モードに設定(F値:8~18)
★ISO:三脚を使う場合は100~200(望遠での撮影は三脚で) 手持ちの場合は400~800
★フォーカス:ワンショット、測距エリアは1点AF、山容撮影の場合は富士山にフォーカス
★ホワイトバランスはオートではなく太陽光(RAW撮影を勧めます)
★露出:評価測光(マルチ測光)、マイナス補正にすると赤味が増します。
赤富士・紅富士作品の撮影日・場所
★作品25 2009年8月16日(日) 5:06 山梨県富士吉田市上吉田 北富士演習場 (MC) 161 036 027*64
★作品26 2016年6月27日(月) 4:25 山梨県山中湖村山中 (MC) 434 281 313*35
★作品27 2018年6月22日(金) 4:29 山梨県山中湖村山中 (MC) 434 282 213*57
★作品28 2010年12月29日(水)16:51 山梨県身延町中ノ倉 本栖湖畔 (MC) 312 474 436*14
★作品29 2004年2月12日(木) 6:35 山梨県山中湖村平野 山中湖畔 (MC) 161 018 524*08
★作品30 2018年3月2日(金) 6:13 静岡県小山町竹之下 誓いの丘 (MC) 57 570 584*77
ダイヤモンド富士
●ダイヤモンド富士とは?
ダイヤモンド富士は、富士山頂と太陽が重なる時をいいます。富士山頂から日が昇る瞬間、または沈む瞬間を写真に撮ると、まるで山頂がダイヤモンドで輝いているような写真が撮影できるため「ダイヤモンド富士」と呼んでいます。
●ダイヤモンド富士は毎日見える
ダイヤモンド富士は天気さえよければ朝・夕と1日に2回、年間を通してみることができます。つまり、1年間で365日×2回=730回(うるう年は732回)見ることができますが同じ場所で見えるわけではありません。
右をご覧ください。これは「ダイヤモンド富士マップ」です。黄色いエリアでダイヤモンド富士が見えます。富士山より東側は夕方(日の入りダイヤ)で、西側からは朝(日の出ダイヤ)です。ダイヤモンド富士になる地点は毎日移動します。夏至から冬至になる期間はダイヤモンド富士が見える地点は毎日北に移動し、冬至から夏至になる期間は南に移動していきます。
では、ダイヤモンド富士になる場所をピンポイントで知りたい場合にはどうすればよいのでしょうか?それは多くの方が様々な情報をネットで配信しています。スマホやパソコンで調べてみたらいかがでしょう。また専用のソフトやアプリも提供されています。ぜひ自分で調べてみてください。きっと楽しいと思います。
●Wダイヤモンド富士(ダブルダイヤモンド富士)とは?
ダイヤモンド富士の作品は圧倒的に「Wダイヤモンド富士」が多いことに気づきます。「Wダイヤモンド富士」とはダイヤモンド富士が水面(湖面)等に映り水面を境に上下対称となっている状態です(写真左)。
Wダイヤモンド富士の撮影には、穏やかな晴天が良いのですが、なかなかWダイヤモンド富士日和になることは少なく、きれいに撮影できたときの喜びは格別です。
私の勧める撮影法(ダイヤモンド富士)
★絞り優先モードに設定
★測光は評価測光ならばマイナス補正または中央重点測光で(露出ブラケット(BKT)撮影もお勧め)
★光芒をきれいに出すため、絞りは11以上に
★ゴーストやフレアを少なくするため「日の出ダイヤ」は太陽が山頂から半分以上出る前に「日の入ダイヤ」は太陽がシャッターは半分以上沈んでから
★ゴーストやフレアを少なくするためファインダーの中心に太陽が来るよう構図を設定
★ホワイトバランスは太陽光または日陰
★ダイヤモンド富士撮影は三脚がなくても大丈夫です
ダイヤモンド富士撮影に三脚を使用している人も多いですが、ISOを100にし絞りを11以上にしてもシャッタースピードは1/200前後になるため、しっかり脇を締めてカメラを構えれば手持ちでも十分に撮影できます。特に混雑時は三脚を使うと広い場所を占領してしまうため手持ち撮影や一脚で撮影するなど譲り合いながら撮影しましょう。
ダイヤモンド富士の撮影場所
以下、ダイヤモンド富士の撮影場所をいくつか紹介します。
(山中湖村)
山中湖村は富士山の東に位置していますから撮影できるダイヤモンド富士は「日の入りダイヤ」です。
10月半ばから3月半ばまでダイヤモンド富士の撮影ができ、山中湖畔ではWダイヤモンド富士撮影ができるため大勢のカメラマンが山中湖村を訪れます。
山中湖村は左のようなダイヤモンド富士マップをHPや観光チラシで発信しています。ダイヤモンド富士となる場所や時間など必要な情報が掲載されていますから撮影に出かける前にはこの情報を一読してから出かけるとよいでしょう。
(神奈川県山北町、静岡県御殿場市・小山町)
このエリアも「日の入りダイヤ」です。山中湖村でダイヤモンド富士が見られなくなる3月半ばからは撮影地が神奈川県山北町に移り、そして静岡県小山町、御殿場市へと移動していきます。
山北町の大野山では3月20日前に、つぶらの公園では3月下旬にダイヤモンド富士が撮影できます。
4月中旬には静岡県小山町の「誓いの丘」で、その後は小山町から御殿場市へと移動していきます。なお、小山町・御殿場市は水田が多く5月を過ぎると田植え間もない水田に映るWダイヤモンド富士が撮影できます。夏至を過ぎると撮影地は御殿場市から小山町、山北町へと移動し、9月15日前後につぶらの公園で9月25日頃には大野山でダイヤモンド富士になります。そして、10月中旬から山中湖村に撮影地は移動していくのです。
(湘南エリア、都内、千葉県内)
このエリアも「日の入りダイヤ」です。富士山から比較的遠方にあるため天候の影響を受けやすく富士山が眺望できない日が多く撮影に難しいエリアです。また富士山から遠方であるため太陽の直径が富士山頂幅と同等または山頂よりも大きく見えます。そして太陽光が大気中を長く通過してくるので、太陽は赤い大気に包まれた白い円状に見えます。そのため撮った作品はダイヤモンドのような光芒は出ません。でも太陽が山頂に重なることから、これも「ダイヤモンド富士」と呼んでいます(「王冠富士」という方もいます)。
神奈川県では、江ノ島や稲村ヶ崎は4月5日前後と9月7日前後に、立石公園(横須賀市)は4月10日過ぎと8月下旬にそれぞれダイヤモンド富士の撮影チャンスが訪れます。
都内では若洲公園からは2月20日前後と10月20日過ぎに、そして、千葉県では館山市の北条海岸から5月中旬と7月下旬に、鎌ケ谷市役所からは2月3日前後と11月10日前後にそれぞれダイヤモンド富士が撮影できます。
(富士川町高下)
山梨県富士川町は富士山の北西に位置しています。そのため富士川町から見えるダイヤモンド富士は「日の出ダイヤ」です。特に富士川町高下は冬至の前後の時期にダイヤモンドになるため、お正月にダイヤモンド富士を撮影しようと大勢のカメラマンで混雑します。
(竜ヶ岳)
竜ヶ岳は、富士河口湖町にあり本栖湖の南に位置する標高1485mの山で山梨百名山にも選定されています。登山道や山頂からは富士山の展望もよく山頂では「初日の出ダイヤモンド富士」が撮影できます。そのため多くの登山客で賑わいます。山頂へは本栖湖キャンプ場から2時間程度かかります。
(富士本栖湖リゾート)
富士本栖湖リゾートは「富士芝桜まつり」で有名ですが冬のダイヤモンド富士も人気です。リゾート内にある竜神池では12月上旬から中旬と12月下旬から1月中旬にWダイヤモンド富士が撮影できます(入園料必要)。
(朝霧高原)
朝霧高原は、富士山の西側で「日の出ダイヤモンド富士」撮影ができるばかりでなく、朝焼け、夕景、草原、パール富士、牧場、赤富士、紅富士、夜空等の撮影もできます。また、大沢崩れも目の前に見えます。また、国道139号線と県道71号線の2本の主要道路が南北に走っており、沿道は牧草地が多いため車で撮影ポイントを探すこともできます。農道も多く撮影ポイントは無限です。
(田貫湖)
朝霧高原の南に位置する田貫湖は、農業用水を確保するために小さな沼地に1935(昭和10)年から堤防を築きはじめ、水の需要に応じて徐々に拡張してきた人工湖です。毎年4月20日前後と8月20日前後に日の出ダイヤモンド富士となるため多くのカメラマンで混雑します。
ダイヤモンド富士(作品)
ダイヤモンド富士の撮影日・場所
★作品31 2020年2月9日(日) 16:33 山梨県忍野村内野 二十曲峠 (MC) 161 137 433*54
★作品32 2010年4月25日(日) 6:04 静岡県富士宮市猪之頭 田貫湖 (MC) 312 021 566*64
★作品33 2017年2月15日(水) 16:33 山梨県山中湖村平野 山中湖畔 (MC) 161 018 524*08
★作品34 2010年12月4日(土) 7:52 山梨県富士河口湖町本栖 富士本栖湖リゾート (MC) 312 387 708*06
★作品35 2014年5月10日(土) 17:35 静岡県御殿場市仁杉 (MC) 50 888 221*67
★作品36 2015年2月3日(火) 16:58 千葉県鎌ケ谷市 鎌ケ谷市役所屋上 (MC) 6 675 734*07
ご来光
富士山頂からのダイヤモンド富士ではなく、山頂ではない稜線や富士山以外から太陽が昇ることを私は「ご来光」と呼ぶことにしています(富士山の稜線と太陽が重なる場合は「斜めダイヤ」と呼んでいる方も多くおられます)。
ここでは、山頂以外から太陽が昇るときの作品を「ご来光」として紹介します。
左の写真は12月19日の冬至間近に本栖湖畔で撮影しました。本栖湖は富士五湖のうち最も西にあり、富士山の北西に位置しています。そのため本栖湖畔では山頂から太陽が昇るダイヤモンド富士になることは1年を通してありません。そして最も太陽が富士山に近づくのが冬至の日なのです。冬至の日の太陽は五合目付近から昇ります。
上の写真は、3月26日と冬至の日の出の位置を示しています。
ご来光(作品)
私の勧める撮影法(ご来光)
ご来光の撮影日・場所
★作品37 2019年9月20日(金) 6:24 静岡県富士宮市猪之頭 (MC) 312 141 237*47
★作品38 2014年12月31日(水) 7:09 山梨県富士河口湖町精進 精進湖畔 (MC) 312 567 446*34
★作品39 2017年10月27日(金) 6:08 山梨県富士川町平林 櫛形山林道 (MC) 312 871 119*76
パール富士、富士山と月
●パール富士とは?
「太陽」が富士山頂と重なるときは「ダイヤモンド富士」といっていますが、「月」が富士山頂にあるときは、あたかも一粒の真珠が富士山頂に乗っているように見えるため「パール富士」と呼んでいます。
月は毎日、東から昇り西に沈みますが「昇る位置・時間」「沈む位置・時間」そして月の形は全く違います。月の満ち欠けの状態を知るための目安となる数字を月齢といっています。なのでパール富士の撮影には、撮影場所と時間はパソコン等で念入りに調べなければなりません。
●(参考)月の出入りの方位角
月がどちらの方向から出て、どちらの方向に沈むかは毎日変わります。
左図は、太陽と月の動きを天球上に示した図です。太陽は黄道(こうどう)という天球上の通り道を1年かけて一周し、月は白道(はくどう)を約27.3日かけて一周しています。そのため、日の出入り方位角と南中高度が一年周期で変化するのに対して、月の出入り方位角と南中高度は約27.3日周期で変わります。
月の出入りの方位角ですが、基本的に東から昇り西に沈みます。しかし、その方位角は、真東もしくは真西から±35度くらいの範囲で周期的に変わるのです。月が北寄りから昇れば南中高度が高くなり、南寄りから昇ると南中高度も低くなります。これは夏至に近づくほど太陽が北寄りから昇り南中高度も高くなり、冬至に近づくほど太陽が南寄りから昇り南中高度も低くなるのと同じです。なお、白道面は黄道面に対して約5°傾いている上、18.6年周期で回転しているので、月の出入りの方位角は、そのピーク値が年々少しずつ変化しています。
右の図をご覧ください。これは冬至の太陽と満月を表した図です。冬至の昼は太陽高度は低いですが、夜になると満月の高度は高くなります。これは地球の自転軸が公転軸より約23.5度傾いているからです。上の図は冬至の図であるので自転軸は右上がりに描きましたが、夏至は自転軸が右下がりとなり満月は低くなります 。
パール富士(作品)
富士山と月(作品)
私の勧める撮影法(パール富士)
★絞り優先モードに設定
★望遠レンズで構図するならば三脚とリモートスイッチ(レリーズ)は必要
★測光は評価測光ならばマイナス補正または中央重点測光で(露出ブラケット(BKT)撮影もお勧め)
★できれば月の模様が描写されるよう露出補正で対応(RAW撮影がお勧め)
★ホワイトバランスは太陽光または日陰で(RAW撮影がお勧め)
パール富士・富士山と月の撮影日・場所
★作品40 2011年1月18日(火) 16:54 静岡県富士宮市上井出 富士桜自然墓地公園(MC) 689 000 120*23
★作品41 2015年3月4日(水) 17:43 静岡県富士宮市人穴 (MC)312 086 582*16
★作品42 2019年12月28日(土) 17:17 山梨県山中湖村山中 花の都公園(MC) 161 072 647*11
★作品43 2015年11月27日(金) 6:29 静岡県御殿場市深沢 (MC) 50 835 066*20
★作品44 2018年8月27日(月) 4:31 山梨県山中湖村平野 山中湖畔 (MC) 161 018 524*08
★作品45 2013年3月9日(土) 5:26 山梨県富士河口湖町富士ヶ嶺 (MC) 689 241 570*51
★作品46 2011年7月17日(日) 4:44 山梨県富士吉田市上吉田 北富士演習場内 (MC) 434 277 184*75
★作品47 2018年3月2日(金) 5:31 静岡県小山町竹之下 誓いの丘 (MC) 57 570 612*14
★作品48 2016年11月13日(日) 16:50 静岡県富士宮市猪之頭 田貫湖畔 (MC) 312 052 010*15
雲海と富士山
●雲海とは?
雲海とは、山や航空機などから下を見たとき、一面がまるで海のように見える雲の様子です。
通常、山で見られる雲海は、山間部などの湿った空気が放射冷却によって霧や靄、層雲(地表近くにできる雲のこと)となり山々の間を漂います。そして、その場面を山や航空機など高い位置から見ると雲の海に山々が島のように浮かんでいるように見えるのです。
●雲海を撮影するにはこんな時・こんな場所がよい
雲海の発生については「移動性高気圧の東側では気温が下がり霧や靄が発生しやすい」で記しましたが、ここでは雲海の撮影に限って明確・簡潔に記しておきます。
(高気圧で覆われているとき)
高気圧で覆われ、夜間によく晴れることによって放射冷却が起こり気温が下がります。すると空気中の水蒸気が冷やされ霧・靄や層雲が発生します。移動性高気圧の場合は高気圧の東側で放射冷却が起きやすくなります。
(日中と夜間の気温差が大きいとき)
日中と夜間の寒暖差が大きいと発生しやすくなります。10℃以上の寒暖差があれば雲海発生の可能性が大です。天気予報の最高・最低気温を注視しましょう。
(雲海が発生はいつ?)
夜明け前に発生しはじめ、早朝にかけてみることができます。太陽で地面が温まると雲海は消えていきます。
(雲海が発生しやすい季節は?)
日中と夜間の寒暖差が大きく放射冷却が起こりやすい秋から春までが雲海のチャンスです(もちろん、それ以外の季節も発生します)。
(雲海が発生しやすい場所は?)
雲海は、霧・靄や層雲が発生しなければ見ることができません。そのため例えば、蒸気霧が発生しやすい川や湖などがある地域や発生した霧・靄が溜まりやすい盆地や山間部が雲海を見るのによい場所といえます。もちろん霧や靄や層雲を見下ろすことのできる標高の高い場所に行かなければなりませんが・・・。
雲海と富士山(作品)
私の勧める撮影法(雲海と富士山)
★夜間または早朝に撮影場所に行き、撮影するので三脚、リモートスイッチ(レリーズ)、ヘッドライトは必要
★絞り優先モードに設定(F値:8~18)
★ISO:三脚を使う場合は100~200 手持ちの場合は400~800
★フォーカス:ワンショット、測距エリアは1点AF、雲海などにフォーカスする。
★色合いはホワイトバランスで調整(RAW撮影ならばその場での調整は不要)
★露出補正:補正なしで撮影し、モニター確認後、露出を補正して撮影、露出ブラケットもOK
雲海と富士山作品の撮影日・場所
★作品49 2011年11月12日(土) 3:13 山梨県富士川町平林 櫛形山への林道(池の茶屋)(MC) 893 568 708*10
★作品50 2009年11月21日(土) 6:11 山梨県富士河口湖町河口 西川林道沿い (MC) 161 486 039*78
★作品51 2019年12月28日(土) 17:17 山梨県山中湖村山中 花の都公園(MC) 161 072 647*11
★作品52 2010年10月2日(土) 5:07 山梨県山梨市三富上釜口 国師ヶ岳山頂 (MC) 664 726 065*82
★作品53 2017年11月13日(月) 6:31 山梨県富士河口湖町河口 (MC) 161 422 535*51
★作品54 2016年10月24日(月) 5:33 山梨県山梨市牧丘町北原 乙女高原 (MC) 664 452 300*47
★作品55 2016年10月26日(水) 5:08 山梨県山梨市牧丘町北原 乙女高原 (MC) 664 452 300*47
★作品56 2016年12月21日(水) 6:49 山梨県身延町中ノ倉 中ノ倉展望地 (MC) 312 504 665*30
★作品57 2008年12月15日(月) 6:55 静岡県静岡市清水区吉原 (MC) 25 895 639*35